まめランドの森

日々のfragment、もうそう、読んだ本やなんやかや

大正から昭和のはじめ

近頃、河出文庫で立て続けに昔の探偵小説が出るので、

ついつい追いかけてしまっている。

森下雨村の「白骨の処女」「消えたダイヤ」、

甲賀三郎の「蟇屋敷の殺人」...

久生十蘭日影丈吉の作品集を出し始めたころから、

おやおやと注目していたのだが、

いつの間にか「KAWADEノスタルジック 怪奇・幻想シリーズ」として

シリーズ化されていた。編集の人でその方面がお好きな方が

おられるのだろうか。ありがたいことである。

東京創元社のほうも、海野十三夢野久作が出てるなあ、

と思っていたら、

こないだは久生十蘭の「魔都」が創元推理文庫でお目見えして、

何度も読んでるけどまた読み始める羽目になってしまった。

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(かっこいい表紙でしょう。昔出た朝日文芸文庫の表紙もいいんですが。。。この調子で

「十字街」も出んかいな)

 

時代は大正から昭和のはじめぐらい。(モボ・モガの時代)

大正デモクラシーの空気を吸ったお気楽な都市生活者の青年たちが

猟奇事件やら謎の陰謀やらに巻き込まれる。

いろいろとツッコミどころが満載で楽しめる。

(なぜわざわざ蟇?”双子プラス1”って海野十三っぽくないか?とか)

結構活劇の要素が多いのは、このころの映画の影響か。

(なんかドタバタしている印象)

寺田寅彦のエッセイを読んでいても思うのだが、

このころのインテリ青年たちは、

話題の映画を見に行き、ミルクホールで冷たいものを飲んだ後は、

美術館でモダンな絵画を見物、

天気がよければ近郊までドライブに行ったりもしている。

そして夜遊ぶところもいっぱいあった。

つまり今の私たちとあまり変わらない。

あと何年かしたら恐ろしいカタストロフィが来ることが

わかっているので、読んでいると何とも言えない気分になることが

あるのだが。。。

 

それにしても昔の面白い小説が

ふたたび取り上げられるのはうれしい。

創元推理文庫河出文庫ちくま文庫

社会思想社の現代教養文庫(あれはよいものでした)を

よみがえらせてる感じ。

 

私のおじいさんは、戦前京都の撮影所の広報をやってた人なのだが、

(戦争が近づくと色々しめつけが厳しくなり、辞めてしまった)

もしかすると彼もあの時代の空気にどっぷりつかってたのかもしれない。

もう少しいろんな話をきいておけばよかったな。

 

はるのにわ

柴崎友香の「春の庭」に

近所の空き家にすごく執着を持つ人物が出てくる。

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(この人の本、ぜんぜん読んだことなかったが思わずジャケ買い

 

そこまでいかないけど、

通るたびに観察してしまう、気になる家というのはある。

昭和初期の洋館みたいだけど、

今は人の気配がない。

住んでいるところは小さな山のふもと。

山の南斜面は昔のお屋敷が点在している。

かぼちゃ色の洋館とか、あったように思う。(今は多分ない)

自分は山の下のほうに住んでいるので

子どものころから

あっちは別の世界、と思っていた。

大人になってから通ってみたら

「売家」になってたり、

突然更地になって5-6軒家が建ったりして

けっこううろたえるのであった。

 

そういう家は、なんだかオーラみたいなものを発していて、

まわりの家と明らかに違う。

鬱蒼とした植え込み、

昔の施主さんや職人さんのディテールへのこだわりとか

造りの中の遊びみたいなもの・・・

そして家自体が抱えてきた住人の歴史とか。

「春の庭」の登場人物も、結局その家というより、

家が内包する住人たちの時間みたいなものに

引き寄せられている。

家も年月を経ると大きな人格みたいなものを持ってくる。

それがこっちのアンテナに引っかかるんだろうな。

今年も、石井神社にて

毎年、いわゆる桜の季節が終わったら

石井神社に八重桜を見に行く。

別に観光名所でもないので、

ヤマカンで「そろそろか?」って

感じで見物に行く。

 

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遠くからでもピンクの雲。

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ちょっと葉桜。

だけど今年も間に合った。

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お賽銭25円を納めて

静かに立ち去る。

ひとりだけの花見。

 

沖縄の夜

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三軒目ぐらいになると、浮遊感が出てきて、

現実と夢のどちらがわにいるのか怪しくなってくる。

 

なぜか隣に座っている見知らぬ人--

髪の長い細身の女の人。後で思うと女装していた人だったかもしれない。

ずっと夜を漂ってきて荒れた肌。澱のようなものを感じる。

 

なぜか異様に二人で盛り上がって、

彼女の友人のオトコノコが、明日沖縄音楽を丸山公園で

演奏するからぜひ見に行こうという話になる。

 

約束したからね。

私は翌日飛行機で北海道に行くことになっているが力強く頷く。

 

そして一緒にいたはずの男はどこへ行ったのだろう。