まめランドの森

日々のfragment、もうそう、読んだ本やなんやかや

満願、その他

 

米澤穂信が編んだアンソロジー「世界堂書店」は、

いわゆる'' 奇妙な味''の作品が詰まっていて、

読んでて楽しかった。(パノス・カルジネスとか初めて知ったし)

 

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泡坂妻夫の「椛山訪雪図」 が好きだってどこかで書いてらして、

う〜ん、趣味が合うかもと思ったのですが、

なんとなく手を出しかねてまして・・・。

   (「椛山訪雪図」はこちらの所収。ほれぼれするような短篇集です)

 

いわゆる青春ミステリの人と思ってたのです。

(いや別に青春ミステリが悪いわけじゃないんですが)

 

で、今度、短篇集「満願」で初めて作品を読みました。

完成度高い・・・。食わず嫌いで損してた。

 

特に後半の三作がよいかな。

 

〈裏プロジェクトX〉とも言うべき「万灯」(しかしエネルギッシュな犯人だ)、

 

「関守」では、峠にぽつんと立つ寂れたドライブインのおばあさんが語る

白昼夢のような物語にひきこまれ、(個人的に峠の茶屋の怖い話ってテーマが

結構好きで、自分でも書いてみようとして失敗してるのですが、

水滸伝十字坡の孫さんの店や落語の鰍沢とか結構テンション上がる) 

 

そして法学生の切ない片恋を静かな筆致で描いた(はずの)「満願」。

背負い投げを食わされ、最後に残る苦味みたいなもの。

 

冒頭の「夜警」 もそうだけど、

どこかにチェスタトン=泡坂テイストが感じられるのも嬉しいかも。

 

丁寧に作りこまれた万華鏡みたいな作品集。

(やっぱり他の長篇とかも読んでみようかな)

 

 

 

 

なんの授業をとるか考えてるうちがハナ

そうこうしているうちに7月も最終日。

きのうは放送大学の前期最終試験。

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一応遠い昔に大学の卒業証書は

もらっているのですが、

ひょんなご縁でこの何年かほそぼそと

受講しています。

 

最初は語学学習のつもりでしたが、

 どっちかというとイマドキの

英会話向き授業ではないので、

いつしか脱線して自分でも

なにがやりたいのかわからない

授業のとりかたをしています。

(役に立つから、という観点で選ぶのが

自分自身シンドクなってきていると

いうのもある)

 

前期はちょっと手違いで

・ヨーロッパの歴史II

・日本語アカデミックライティング

・健康長寿のためのスポートロジー

・錯覚の科学

と4つもとってしまい、

まあ2科目がほどほどの量であることを

さとりましたが、

(カネのこともあるしな)

何とか終わりました。

(結果は知らない・・・)

 

ヨーロッパの歴史II」が意外と面白かった。

"園芸史"というか・・・。

一般的ではない切り口ながら、ヨーロッパの

歴史を俯瞰できちゃうのでした。

プラントハンターの話なども出てきたな。

知らない話が多かったわ。

ウォード箱なんて初めて知った。

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(↑こんなのに植物をいれて船で輸送して大丈夫だったのだろうか)

 

あと、「錯覚の科学」もよかったけど、

いわゆる<持ち込み不可>だったので、

不安~な感じはあります。

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(↑錯視を利用した画像。マンテーニャさん)

 

後期は

ラテン語

マーケティング

をとるつもり。ますます一貫性がない。

(実はそうは言ったもののある程度

仕事に関係ないでもない。

かすかに、かすかにだが)

 

どの授業にしようか考えてるうちが

一番楽しいかも。

それは大学時代もいっしょか。

 

先週一週間は、そんなわけで

京都駅の周辺をウロウロ(試験会場が駅前)

してたのですが、

祇園祭が終わってもなんて大勢の人がいるんだ。

ここだけ異国ダワ。

 

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(モラモラと暑い。)

紫陽花のこと

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今年はいろんなところで

さまざまな色、種類の紫陽花を見かけました。

 

自分の家で紫陽花を育てるようになってから

ヨソ様の花にも目がいきやすく

なっているのかも。

 

ウチのは白紫陽花。
(アナベラではありません)

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去年もらった時はこんなに小さかった。

虫食いもあったし。

 

秋にすっかり枯れて、

(死んだ…)と思っていたら

春先にいっぱい新芽が出ててびっくり。

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あれよあれよと言う間に

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増殖して

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かなり賑やかに咲いてくれました。

ここは庄野潤三風に「ありがとう。」と

言うところ。

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白とは言え、よく見ると、

複雑な色味が混じってます。

 

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こちらはご近所の紫陽花に囲まれた家。

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年に一度の饗宴という感じで

楽しみにしてます。

 

今年は偶然立ち寄った

革堂(こうどう・寺町丸太町下ル)でも

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思わぬ眼福でした。

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ハスも咲いてる。

もう7月か‥。

 

 

くつしたの研究

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気がついたら6月も半ばになっていた。

前回記事から一か月もたってしまったじゃありませんか。

 

その間何をしていたかというと、

長年お付き合いしてきたプロバイダ乗換、

母のスマホ購入(八十代チャレンジでどうなるかと思ったが、

案外スムーズにいってる)、そしてくつした研究である。

 

2016年冬に職場の図書館地下書庫の雑誌の大移動をして以来、

左足のかかとが痛いのだが、そのうち治るはずがいまだ変化なし。

一日中痛いのではなく、歩き始めや長時間歩行で痛くなる。足底筋膜炎と

いうもののようです。

冬場はなんとかしのげたのですが、いくらフリーダムな職場とはいえ、

夏のサンダルシーズンに片足サポーターってのもね。。。

第一蒸し暑くて水虫になりそうだ!

 

医者に行くのがめんどうな人なので放置してましたが、

そろそろそうもいかず。

 

自分でできることとしては、

・歩かない

・あしマッサージ

・中敷きを使ってみる

・体重を落とす

 

ぐらいですが、歩かないのは職務上不可能だし、マッサージは諸説あり上

のサイトでやれと言ってるのを下のサイトで真っ向否定という感じで結局

怖くてできない。体重のコントロールもできる運動に制約があり難しい。

(←食事制限を全く考えていない)。中敷きーネットではどれ買っていい

かわからないし、買いに行くのはめんどくさい。

 

列挙していくと、単に怠慢なんじゃないかね。。。

 

偶然読んだ本に思いがけないことが書いてありました。

honto.jp

5本指くつしたは、きっちり履きすぎると、

足指が反り気味になります。で、着地のときに指が使えないので、

足底筋が張ってしまう→炎症。

 

ン十年履いてるんですけど。そうなのか・・・?

(長年お世話になった5本指ソックスのために弁護すれば、

ゆるく履いたら問題ないようです。私はつい引っ張り上げてしまうの

で。。)

 

で、この二週間ほど足袋ソックスを履いてみました。

なんかほぼ、痛くなくなっています。

(違和感はあるので、まだ治ったとはいえませんが)

この一年以上の苦労はなんだったのだ?

 

それやこれやでアマゾン様でずっと足袋ソックスを探していたのですが、

(5本指から普通のくつしたに移行するのって意外と気持ち悪くて

抵抗あります)なかなか趣のあるジャンルで、

四国遍路用の足袋ソックスとか、お祭り用 (滑り止めがついてる。

だんじりから落下するのを防ぐためでしょうか)とか、

着物着るときこっそり履く用とか、知られざる世界でした。

(もちろんtabiochumsのおしゃれなのもある)

 

自分の場合、そもそも外反母趾なので、

根本的にはそっちをなんとかしないと解決しないと思いますが、

まさかくつしたとはねえ。

ずっと習慣で続けてることも、

たまには見直したほうがいいかもしれませんね。

 

P.S. かれこれ一か月になりますが、かかとの痛みは

ほぼなくなりました。(ウソみたいですが)

今、普通のくつしたと、足袋ソックスの両方をはいていますが、

普通のくつしたの日に長く歩くと、右の外反母趾が痛い。

足袋ソックスなら大丈夫でした。

1mm以下の話と思うけど、人体って微妙。 

 

 

大正から昭和のはじめ

近頃、河出文庫で立て続けに昔の探偵小説が出るので、

ついつい追いかけてしまっている。

森下雨村の「白骨の処女」「消えたダイヤ」、

甲賀三郎の「蟇屋敷の殺人」...

久生十蘭日影丈吉の作品集を出し始めたころから、

おやおやと注目していたのだが、

いつの間にか「KAWADEノスタルジック 怪奇・幻想シリーズ」として

シリーズ化されていた。編集の人でその方面がお好きな方が

おられるのだろうか。ありがたいことである。

東京創元社のほうも、海野十三夢野久作が出てるなあ、

と思っていたら、

こないだは久生十蘭の「魔都」が創元推理文庫でお目見えして、

何度も読んでるけどまた読み始める羽目になってしまった。

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(かっこいい表紙でしょう。昔出た朝日文芸文庫の表紙もいいんですが。。。この調子で

「十字街」も出んかいな)

 

時代は大正から昭和のはじめぐらい。(モボ・モガの時代)

大正デモクラシーの空気を吸ったお気楽な都市生活者の青年たちが

猟奇事件やら謎の陰謀やらに巻き込まれる。

いろいろとツッコミどころが満載で楽しめる。

(なぜわざわざ蟇?”双子プラス1”って海野十三っぽくないか?とか)

結構活劇の要素が多いのは、このころの映画の影響か。

(なんかドタバタしている印象)

寺田寅彦のエッセイを読んでいても思うのだが、

このころのインテリ青年たちは、

話題の映画を見に行き、ミルクホールで冷たいものを飲んだ後は、

美術館でモダンな絵画を見物、

天気がよければ近郊までドライブに行ったりもしている。

そして夜遊ぶところもいっぱいあった。

つまり今の私たちとあまり変わらない。

あと何年かしたら恐ろしいカタストロフィが来ることが

わかっているので、読んでいると何とも言えない気分になることが

あるのだが。。。

 

それにしても昔の面白い小説が

ふたたび取り上げられるのはうれしい。

創元推理文庫河出文庫ちくま文庫

社会思想社の現代教養文庫(あれはよいものでした)を

よみがえらせてる感じ。

 

私のおじいさんは、戦前京都の撮影所の広報をやってた人なのだが、

(戦争が近づくと色々しめつけが厳しくなり、辞めてしまった)

もしかすると彼もあの時代の空気にどっぷりつかってたのかもしれない。

もう少しいろんな話をきいておけばよかったな。

 

はるのにわ

柴崎友香の「春の庭」に

近所の空き家にすごく執着を持つ人物が出てくる。

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(この人の本、ぜんぜん読んだことなかったが思わずジャケ買い

 

そこまでいかないけど、

通るたびに観察してしまう、気になる家というのはある。

昭和初期の洋館みたいだけど、

今は人の気配がない。

住んでいるところは小さな山のふもと。

山の南斜面は昔のお屋敷が点在している。

かぼちゃ色の洋館とか、あったように思う。(今は多分ない)

自分は山の下のほうに住んでいるので

子どものころから

あっちは別の世界、と思っていた。

大人になってから通ってみたら

「売家」になってたり、

突然更地になって5-6軒家が建ったりして

けっこううろたえるのであった。

 

そういう家は、なんだかオーラみたいなものを発していて、

まわりの家と明らかに違う。

鬱蒼とした植え込み、

昔の施主さんや職人さんのディテールへのこだわりとか

造りの中の遊びみたいなもの・・・

そして家自体が抱えてきた住人の歴史とか。

「春の庭」の登場人物も、結局その家というより、

家が内包する住人たちの時間みたいなものに

引き寄せられている。

家も年月を経ると大きな人格みたいなものを持ってくる。

それがこっちのアンテナに引っかかるんだろうな。

今年も、石井神社にて

毎年、いわゆる桜の季節が終わったら

石井神社に八重桜を見に行く。

別に観光名所でもないので、

ヤマカンで「そろそろか?」って

感じで見物に行く。

 

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遠くからでもピンクの雲。

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ちょっと葉桜。

だけど今年も間に合った。

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お賽銭25円を納めて

静かに立ち去る。

ひとりだけの花見。