まめランドの森

日々のfragment、もうそう、読んだ本やなんやかや

殊能将之を読む。

殊能将之は、ちょっと気になってたけど

今まで読んだ事なかった。

 

   殊能将之(しゅのう・まさゆき)

   1964.1.19-2013.2.11

   日本の推理作家

   生前は覆面作家として執筆

   1999年「ハサミ男」でメフィスト賞受賞

 

 

なんの気なしに読み始めたら

沼にはまってしまいまして‥。

 

以下、読んだ順)

鏡の中は日曜日

マラルメ研究家の館で起きた

不思議な殺人事件。

平行して語られる囚われの人の物語・・・。

二つが交錯するときヒジョー

びっくりすることになります。

中盤で「これ最初に読んで失敗した!」と

言いたくなるようなことが起こりますが、

大丈夫。(なにが?)

 

黒い仏

まじめなミステリファンが読んだら

間違いなく激怒するであろう怪作。

(げんに某アマゾンのレビューで

怒ってる人がいた)

個人的には意外と好きかも。

(しかしなぜそんなことを思いつく・・・)

探偵・石動の助手アントニオが気になるな。

何者だよ。

 

ハサミ男

シリアルキラーものと思って読んでいると、

突然あたりの風景が

ぐにゃりとよじれるのです。

これ映画になったんじゃなかったかな。

 

美濃牛

初めなんか冗長な気がしたんだけど、

オフビートって言うべきか。

句会もヘンだったし‥。

しかしなかなかハデな殺人現場で

スケキヨ感はあります。

 

キマイラの新しい城

これも歴史好きとしては楽しめました。

なにもかもミスマッチなのがおかしい。

で、あの名探偵も助っ人で登場するのです。 

 

謎自体も、シチュエーションも

なにもかも微妙にヘンなのだが、

特筆すべきは人物造形で、

回文好きの居酒屋、

見た目も中身も、全く普通の刑事なのに、

ハードロックの話になったとたん

突然異様に熱く語り始める野球音痴の男とか、

カート・ヴォネガットを引用する

極道界の方々、

ディクスン・カーが好きな

密室マニアの地味な重役さんとか

(探偵石動はこの事件で

終生の友を得たんじゃないか)

_この探偵もヘンで、

よく考えたらほとんどなにも

していない。

 

本筋とは関係ないところで

妙に人物が書き込まれているのは

泡坂妻夫を思わせる。

(本筋と関係ある場合もあるけど)

  

女の人もかなり癖の強い人が多い。

ハサミ男の被害者のコとか、

美濃牛の女の子とか‥。

鏡の中、のあのひとが一番好きかな。

  

エグい殺人が多いが

残酷さは稀薄。

随所にひねったユーモア。

 

西洋中世クラスタ

激しく喜びそうな

六本木ヒルズ馬上槍試合など。

 

そうかと思えば、横溝風の美濃牛に

小島信夫の「美濃

(これもヘンな小説で!)への

オマージュがしのばせてあったり。

 

恐ろしい読書量だったのではないか。

オハナシが好きだったんだと思う。

 

書けなくなってしまったのか。

まだまだ面白いものが

書けたかもしれなかったのに。

 

本人は、慌ただしく

この世を去ってしまったので

残念ながら続きは読めないのですが‥。

 

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本題には関係ありません。何となくイメージで。