「パタゴニア」
「パタゴニア」が文庫になった。
私は南半球に行ったことがない。
最初の職場に、若い頃ブラジルで暮らしてた人がいて、
彼の南米話は相当ワイルドかつ面白かったので、
密かに怖がりつつ興味のある未踏の大地でした。
ドラム缶にお湯入れて風呂入ってて、
上がってから缶の底に黄金色の大蛇がいて
ピストルぶっ放したとか、そうゆう話。
が、この「パタゴニア」は私の想像をはるかに超えていました。
ブラジルよりさらに南、アルゼンチンとチリ両国にまたがった地域。
フォークランド紛争の起きる数年前。
祖母の家にあった一枚の毛皮から始まり、
王になろうとした男、両足のない亡命ロシア人女医、
ルートヴィヒ2世を君主として称賛する老人、
サンダンス・キッド外伝、
ロスト・ワールドに一角獣(!)、
沼を埋め尽くすフラミンゴ、
頭上を旋回するコンドル、
黄金都市の夢、魔法使い集団の恐るべき秘儀、
そしてそして‥なんだか一緒にすごく長い旅をしてきたような気がします。
何というか、羅列するだけでも楽しい。
(書きながら思ったけど、映画ネタの多いこと!)
多少色付けされてるところもあるそうなのですが、
もうここまで来ると「事実か事実でないかはたいした問題じゃない」
パタゴニアのエッセンスを汲み取ってほしい。
「どうして僕はこんなところに」の時も思ったけど(これもいい本)、
ブルース・チャトウィンの魅力によるところも多いです。
いつの間にか、すうっと話を引き出しているもんねえ。
とても頭のよいデリケートな人だったんだと思う。
このような方です。(ちょっとStingっぽい)