大正から昭和のはじめ
近頃、河出文庫で立て続けに昔の探偵小説が出るので、
ついつい追いかけてしまっている。
おやおやと注目していたのだが、
いつの間にか「KAWADEノスタルジック 怪奇・幻想シリーズ」として
シリーズ化されていた。編集の人でその方面がお好きな方が
おられるのだろうか。ありがたいことである。
と思っていたら、
何度も読んでるけどまた読み始める羽目になってしまった。
(かっこいい表紙でしょう。昔出た朝日文芸文庫の表紙もいいんですが。。。この調子で
「十字街」も出んかいな)
時代は大正から昭和のはじめぐらい。(モボ・モガの時代)
大正デモクラシーの空気を吸ったお気楽な都市生活者の青年たちが
猟奇事件やら謎の陰謀やらに巻き込まれる。
いろいろとツッコミどころが満載で楽しめる。
(なぜわざわざ蟇?”双子プラス1”って海野十三っぽくないか?とか)
結構活劇の要素が多いのは、このころの映画の影響か。
(なんかドタバタしている印象)
寺田寅彦のエッセイを読んでいても思うのだが、
このころのインテリ青年たちは、
話題の映画を見に行き、ミルクホールで冷たいものを飲んだ後は、
美術館でモダンな絵画を見物、
天気がよければ近郊までドライブに行ったりもしている。
そして夜遊ぶところもいっぱいあった。
つまり今の私たちとあまり変わらない。
あと何年かしたら恐ろしいカタストロフィが来ることが
わかっているので、読んでいると何とも言えない気分になることが
あるのだが。。。
それにしても昔の面白い小説が
ふたたび取り上げられるのはうれしい。
よみがえらせてる感じ。
私のおじいさんは、戦前京都の撮影所の広報をやってた人なのだが、
(戦争が近づくと色々しめつけが厳しくなり、辞めてしまった)
もしかすると彼もあの時代の空気にどっぷりつかってたのかもしれない。
もう少しいろんな話をきいておけばよかったな。