まめランドの森

日々のfragment、もうそう、読んだ本やなんやかや

萩尾望都の「AWAY」

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 萩尾望都の「AWAY」(全2巻)は、"flowers" 2013年6月号から2015年8月号にかけて

連載されたSF作品です。


萩尾作品は大概単行本化してから

追いかけているのですが、

これは読み損ねていました。

 

たまたま電子版1巻が無料で読めたんで

DLしたら、面白くて結局紙本で揃えることに。

 

この作品は、小松左京の短編「お召し」に

ヒントを得たもので、

 

ある朝急に世界から18歳以上の大人が

いなくなってしまう。

残された子供たちの生きていくための戦いが

始まるのだが・・・。

 

子供だけが残されてサバイバル、というのは

古くは十五少年漂流記蠅の王とか

(どっちも読んでナイ)多々ありますが、

楳図かずおの「漂流教室」を読んだ時も

感じたけど、自分だったらムリ!

こんなにしっかりしていないとか

いろいろ思ってしまう。

(というか根本的にサバイバル能力がないので

5ページ目ぐらいで死ぬ)

 

でもこの物語には納得の設定があって、

「大震災」のあと、

子供たちも災害時のサバイバル訓練を

受けていたので、

ある程度のことはできてしまう。

(大型車の運転、赤ちゃんの世話、

大量炊事・・・)

 

状況はかなり深刻で、みんな必死なのだが、

おかしくなる子供や、

もともとおかしいのもいるし、

死んじゃったり殺しちゃったりするし、

かなりううとなるシーンもあるのだが、

これは登場人物がみんな若いからか、

ある種の明るさがあるの。

(主人公の女の子は「11人いる!」の

フロルベリチェリ・フロル似)
(11人いる!は続編と合わせて自分的にはもうMASTERPIECE)

 

そして大人だけが残された「HOME」でも

起こりうる状況がよく書けている。

(いやだねー、でもきっとそうなるねー、

という感じ)

 

2巻を入手待ちの間に、

小松左京の「お召し」のほうを電書で

読んでみたけど、

よくこの短い話から展開したなあ。

 

で、2巻。

ネタバレになるのであまり言わないけど、

不気味な白い少年が出てきたり、

食料不足が深刻になってきたり・・・。

いろいろありますが、

宙に放り投げられたというか、

大きな宿題をもらった感じで

突然(と言っていいと思う)終わります。

 

個々の登場人物が結構好きなので、

続きがあれば読みたいのですが__

そして書こうと思えば書けたのではないかと

思うけれど、ここで終わるしかなかったの

かもしれない。

(これ以上書くと完全に「お召し」から

離れてしまう)

 

主人公以外でポイントとなる人物は、

自分にとっては河津くんで・・・。

彼は、状況的には誰かがしなければならない

ことをしたのだが、

もう元の彼ではない。

重いものを背負ってしまったなあ。

静かで目立たないが、大きな人。

 

しかし18歳までしかいない世界というのは、

人を早く大人にしてしまう。。。

 

もう一つ気になるのは、

あのうっかりAWAYの世界に残ってしまった

大人のおじさんは永遠に

(AWAYとHOMEが合体するその日まで)

戻れないんだろうか。

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そして、そして、未来が「そうならないには」どうすればいいのか。